「高齢者はペットを飼っちゃダメ?」に答える制度3選|後見・預かり・信託の最新情報

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先月末、YouTubeで「高齢者はペット飼っちゃダメですか?」というタイトルのセミナーを受講しました。疑問を投げかけるこのタイトルに惹かれ、視聴しました。

このセミナーは、人と動物の共生センターが主催し、ペットに特化した行政書士や猫の永年預かり制度を運営する譲渡団体と共に情報発信を行っています。

この記事の執筆にあたり、主催者である人と動物の共生センターに許可をいただきました。個人のブログにも関わらず、活動を広めることを快諾してくださったことに感謝申し上げます。

登壇者のご紹介

各団体の活動内容

1. NPO法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道

  • 北海道札幌市を拠点に、飼い主のいない猫たちに家族を見つける活動を中心に行っている。
  • 2015年から「永年預かり制度」を開始し、終生飼育に自信がない方にも猫を飼ってもらえる仕組みを提供している。
  • 飼い主に飼えない事情が生じた場合、譲渡した猫を再度引き取る体制を整えている。
  • 2010〜2024年までの保護猫数は5,770匹、譲渡数は4,635匹にのぼる。
  • 高齢者の飼育放棄や多頭飼育崩壊などの問題に対応し、福祉関係者や行政と連携している。
  • 今後は「永年後見制度」を展開し、飼育中の猫の所有権を生前譲渡することで、万が一の際に団体が引き取る仕組みを構築している。

2. HAL行政書士事務所

  • ペットシッターから行政書士になり、ペット法務士としても活動している。
  • ペットビジネスや動物取扱業のサポート、契約書作成、運営支援などを行っている。
  • ペットのための遺言や信託作成支援も提供している。
  • 飼い主の病気や死亡が原因で愛護センターに引き取られる犬猫が多いことに着目し、情報発信や個別相談に応じている。

3. NPO法人 人と動物の共生センター

  • ペット後見制度の普及を目指し、飼い主に万が一のことがあった際の連絡体制や見守りシステム(LINE)を活用している。
  • ペット後見互助会「とものわ」を運営し、以下のサービスを提供している:
    • 会員は入会金+事務手数料(10万円)、月々の会費(1,000円)、終生飼育費用(100万円~)を遺し、互助会がペットの飼育費用を賄う。
    • 会員が入院や要介護状態になった場合、ペットを引き取り、譲渡または終生飼育を行う。
    • 見守り体制を整え、必要に応じて自宅まで緊急保護に伺う。
  • 団体の運営資金は会員費や寄付によって賄われることが理想。

    ※団体の実態としては実際は修正飼育費用は100万円でも足りないそうです。
    というのも、ペットホテルの安いところでも3000円/日。×1か月=約10万円。×10か月=100万円。
    ですが、ペットホテルは完全引き取りはしておらず、さらに対象の犬が病気や高齢でケアが必要ならば預かりすらも拒否されたりします。
    この団体では、犬によっては早くに引き取り先の会員さんがみつかり、預かり中のコストが大きくかからなくて済むパターンもあれば、
    預かりコストが250万円以上かかってしまう子もいたりと様々な中、
    皆さんに「一律300万円です」というのは現実的ではないため、現在のような形で運営しているとのこと。
    かかるコストを平均的に考えて、なんとか回せるように工夫されている様子です。
    また、“どのような形で支払うか”ですが、パターンは大きく以下の3つだそうで、

    1.遺言で残す(引き取り先をこの法人に指定)
    2.生命保険信託(お金の受取人をこの法人にして契約)
    3.予め所有権移転契約をこの法人として先払いしておく。

    という形です。
    みんながみんな大きなお金をポンと出せるわけでもなく、また、そもそも法人に対する信用と信頼がなければ成り立ちません。
    こちらの法人は代表の獣医師さんをはじめ、一貫した理念を基に、数々の仕組みづくりにチャレンジし、着実に実績を積み上げておられます。

よくある質問

Q. 今飼育中の人は何から始めたらいいですか?

A. 家族や信頼できる人と、万が一の際にペットの飼育を引き継いでもらえるか話し合っておくことが大切です。

Q. 良い動物団体の見分け方は?

A. 実際に訪問して話を聞くことが重要です。特に、現代表が退任しても後継者がいるかどうかを確認しましょう。

まとめ

高齢者やおひとり様でも、適切な制度や団体を利用することで、ペットと安心して暮らす仕組みは始まっています。セミナーを通じて、「高齢だからペットと暮らすことを諦める」のではなく、「どうすれば最後まで一緒にいられるか」という視点で考えることの大切さや、命を預かることに年齢の壁を作らないよう、社会全体で支えていくことの大切さを強く感じました。

これからの時代はペット後見制度や永年預かり制度、高齢者・高齢ペットなどの専門家への相談など、信頼できる仕組みを活用し、大切な家族であるペットとの生活を続けていけるといいですね。

そういった仕組みがあるということを知っておくだけで困ったときの選択肢の幅が広がり、これからの安心と希望につながるかもしれません(^^♪

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